かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女


   かきつばたになった少女  10


そして、広い草原のむこうから、こちらにむかって、
少年が走ってくるのがみえました。
少年の姿は、草原を走っている小鹿のように見え
ました。
少年の姿をみた時、かきつばたはほっとしました。


「こんにちは。すごい霧だったね」
少年が、にこにこしながら近づいてきました。
「こんにちは。すごい霧でびっくりしたわ。もう家に
帰れないのではないかと思ったわ」
かきつばたは、ほっとした顔でいいました。
「みかけない顔だけれど、きみ、どこからきたの?」
「あの山の向こうからよ」


         つづく





「かきつばたになった少女」は、みほようこの四冊目の
童話集「ライオンめざめる」に収録されています。


https://mihoyouko.web.fc2.com/douwasyuu4.html



童話集「ライオンめざめる」の価格は、現在 1540円です。

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女


   かきつばたになった少女  9


「おとうさま、ごめんなさい。私はおとうさまとの約束
をやぶり、一人で霧が峰へきました。病気のおばさ
まに、きすげの花をプレゼントしようと思ったのです。
おとうさま、どうか霧が早く晴れるように、私をしっか
り守ってくださいね」
かきつばたは、心の中でおとうさんにお願いしました。


どのくらいの時間が過ぎたのでしょうか。
かきつばたには、長い時間が過ぎたように感じました。
霧がさっと晴れ、目の前には、真っ青な空があらわれ
ました。


         つづく





「かきつばたになった少女」は、みほようこの四冊目の
童話集「ライオンめざめる」に収録されています。


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