童話

福寿草になった少女

[童話]福寿草になった少女 福寿草になった少女 7 「なんでこんなかわいい子を捨てるのじゃ」 「きっと理由があったのでしょう。こんなかわいい子 ですもの、母親だって捨てたくなかったでしょうに」 かわいいこどもを捨てるなんて、こどもの授からない 夫婦…

福寿草になった少女

[童話]福寿草になった少女 福寿草になった少女 6 袋の中には、鈴が入っているようです。 女の子のおかあさんが、お守りのつもりで、鈴をおい ていったのでしょうか。 長者が袋をあけてみると、中には黄金色の鈴が入っ ていました。 「おや?鈴に紋がついて…

福寿草になった少女

[童話]福寿草になった少女 福寿草になった少女 5 「だんなさま、門の所に赤ちゃんが・・・赤ちゃんが 捨てられています」 「何?赤ちゃんが捨てられていると・・・」 「はい、赤ちゃんが捨てられています」 長者と妻は、門の方へ走って行きました。 門のそ…

福寿草になった少女

[童話]福寿草になった少女 福寿草になった少女 4 二十年が過ぎました。 二人とも、四十すぎになりました。 「もう年だから、こどもは無理ね」 「こどものことを、毎日お願いしているのに、なぜ明 神さまは、わしらの願いを聞いてくれないのじゃろ」 二人は…

福寿草になった少女

[童話]福寿草になった少女 福寿草になった少女 3 「わしらにも、元気なこどもがほしいのぅ」 こどもたちをみるたびに、二人はそう思います。 「だんなさまも奥さまも、あんなにこどもが好きなの に、なぜこどもが授からないのじゃろ。早くこどもが 授かると…

福寿草になった少女

[童話]福寿草になった少女 福寿草になった少女 2 長者夫婦は、人がうらやむほど、仲の良い夫婦で した。 しかし、なぜかこどもが授かりません。 「明神さま、どうかわしらに、元気なこどもをお授け ください」 そういって、二人は明神さまに朝晩お願いして…

福寿草になった少女

[童話]福寿草になった少女 福寿草になった少女 1 諏訪湖の近くに、守屋山という山があります。 「守屋山には、明神さまが住んでおられる」といわ れています。 守屋山のふもとに、朝日長者とよばれる、大きなや しきがありました。 長者は、宝がいっぱいつ…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 31 すると・・・。 「三郎、いろいろ大変じゃったのぅ。おまえの妻は、 私の娘じゃ。三郎よ、娘を大切にしてくれてありが とう。おまえがどんなに心の優しい人間か、よくわ かった。これからは、娘とともに諏訪湖…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 30 愛する妻も、竜になっていたのです。 「おっかあー」 「三郎さーん」 二人はしっかりだきあいました。 三郎を諏訪湖で失った妻は、悲しみのあまり諏訪 湖に入り、なくなりました。 そして、竜になり、諏訪湖の…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 29 「ここよー。私は諏訪湖にいるわー」 妻のやさしい声が、どこからか聞こえてきました。 三郎はがばっと体をおこすと、諏訪湖めざして進 みました。 気がつくと、三郎は竜になっていました。 「はぁっ、はっ」 …

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 28 きりがみねの丘に着いた時、諏訪湖のあたりが、 ぼおっと明るく光っているのがみえました。 「おっかあー、三郎だー」 「おっかあ、いたら返事をしてくりょー」 三郎はひっしでさけびました。 でも、何の返事…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 27 「アッハハ、アハハ」 兄たちの家から、笑い声が聞こえてきました。 「兄たちは幸せに暮らしているのだな」 三郎は、笑い声を聞いて、安心しました。 「もしかして、おっかあは諏訪湖へ行ったのかもし れない…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 26 「おかしいな、どうしたのだろう」 家の中へ入った三郎は、驚きました。 家の中は、くもの巣だらけでした。 「おっかあはどこへ行ってしまったのだろう」 三郎は心配になりました。 三郎は、兄たちの家へも行…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 25 三郎の体は、うろこのついた大きな蛇になってい たのです。 「せっかく村に戻ってくることができたのに・・・。 なぜだ。こんな姿でおっかあに会ったら、おっか あはびっくりして、腰をぬかしてしまうだろう。…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 24 「早くおっかあに会いたいな。おっかあは元気でい るだろうか」 三郎は、妻のことばかり考えながら、歩き続けました。 地の国をでてから、千日が過ぎました。 「おっ、かすかに光がみえるぞ。とうとう村へつい…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 23 そして、鹿のなまぎもでつくったもちを千枚、三郎に くれました。 「地上へでるまで、千日かかる。このもちを、一日一 枚ずつ食べなさい。そうすれば、無事に地上にでる ことができるだろう」 「神様、ありが…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 22 しかし、三郎は帰ってきません。 一日たち、二日たち、三日たっても、三郎は帰って きませんでした。 「三郎さんはどうしたのかしら」 三郎のことが心配で、妻はいてもたってもいられま せん。 妻は諏訪湖へ行…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 21 しかし、三郎は毎日妻のことばかり考えていました。 「早く家に帰りたい。おっかあはどんなに心配して いるだろう」 そう思うと、三郎はいてもたってもいられません。 「どうか妻に会わせてください」 三郎は…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 19 「おまえは本当に不思議な男じゃのぅ。そうだ、お まえを地の国の王子に迎えよう」 「えっ、私が地の国の王子ですって?」 「そうじゃ。人を少しも疑うことを知らないおまえを、 この国の王子にしてあげよう。…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 18 「わしは地の国の神じゃ。本当にひどい目にあっ たのぅ。しかし、おまえはあんなひどい目にあって も、兄たちを少しもにくんでおらぬ。なぜじゃ。な ぜお前は、兄たちをにくまないのじゃ」 神様は、三郎にたず…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 17 しかし、広い湖には誰もいません。 泳ぎのうまい三郎でしたが、落ちた所が強くうずを まいている所だったのでたまりません。 もがけばもがくほど、三郎の体は、ずるずるーと、う ずの中にすいこまれてしまうの…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 16 しかし・・・。 兄たちはさっさと舟をこぎ、三郎をみすてていっ てしまいます。 「なぜだ」 あんなにかわいがってくれた兄たちが、なぜこん なひどいことをするのか、三郎にはわかりません でした。 三郎の頭…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 15 三郎はひっしで舟をこいできたので、うでが疲れて いました。 「あーあ」 三郎がせのびをしようとたちあがった時、兄たちは 「それ、今だ」と、目くばせしました。 「えいっ」 兄たちは、三郎を後から力いっぱ…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 14 数時間後、三人はやっと諏訪湖につきました。 三人は小さな舟にのり、湖の真ん中めざしてすす みます。 湖はようやく氷がとけはじめたばかりでした。 春の日をあび、湖はきらっきらっと輝いています。 三郎は…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 13 そんな悪だくみがあるとは知らず、三郎は妻と仲良 く暮らしています。 三郎は妻のことを、「おっかあ」と呼んでいます。 美しい働き者の妻を、「おっかあなんてよぶのはど うかな」と、ためらっていた三郎も、…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 12 そんなある日。 「諏訪湖の真ん中あたりに、うずをまいている深い 場所があると、年寄りから聞いたことがある。そこは 底なしのふちになっているらしい。そうだ、三郎をそ のうずの中へつきおとしてしまおう。…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 11 山深い村にも、ようやくあたたかな春がやってきま した。 太郎と次郎は、今日もこそこそと、悪い相談をして います。 「次郎や、たてしな山の奥に、人穴があるそうだ。 その穴へ落ちると、二度と戻ってこられ…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 10 「三郎は、良い嫁をみつけたな。なんでもできるし、 その上すげえ美人だ。ほんとにうらやましいな」 太郎と次郎は、会うたびに三郎の妻の話をしました。 二人は、三郎がうらやましくてしかたがありません。 な…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 9 三郎の妻は、姿が美しいだけでなく、心のやさし い人でした。 その上働き者だったのです。 掃除も洗濯も、料理もはたおりも、とても上手で した。 「すこしゆっくり休んだらどうだい」 三郎が心配するほど、妻は…

竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎 竜神になった三郎 8 三郎の心の中は、諏訪湖のほとりで会った美しい 娘のことで、いっぱいだったのです。 その夜、三郎はなかなかねつくことができません でした。 その後、二人は、諏訪湖のほとりで、何度か会い ました。 そして、…