童話

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ハプニング? あーちゃんの指をがぶり・・・」 9 「ああ、痛かった・・・。なんでかわいがってあげている 私の指にかみつくのよ」 そういいながら、あーちゃんはあわてて部屋へ入って いった。 窓からのぞいたら、…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ハプニング? あーちゃんの指をがぶり・・・」 8 でも・・・、指をはなしてあげたいのだが、口が動か ないのだ。 「あーちゃん、ごめんね。ぼく指にかみつくつもりな んかなかったのだよ」 ぼくは心の中で、何度も…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ハプニング? あーちゃんの指をがぶり・・・」 7 「りゅう、私もそれ位痛いの。だからボールをはなし て・・・」 それでも、ぼくがボールをはなさないので、今度は しっぽがちぎれてしまうのではないかと思う位、ぼ…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ハプニング? あーちゃんの指をがぶり・・・」 6 「ねえ、りゅう。良い子だから、口をはなして・・・。痛 いわ・・・。りゅうは今私の指にかみついているのよ。 わかる?」 そういわれても、最初はあーちゃんの指に…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ハプニング? あーちゃんの指をがぶり・・・」 5 「がぶり!!」 ぼくはボールにかみついた。 「痛い!!」 突然、あーちゃんの悲鳴が聞こえた。 ぼくは、その声を聞いて、「ぎょっ」とした。 なんと・・・ボールと…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ハプニング? あーちゃんの指をがぶり・・・」 4 「りゅう、疲れたからもうやめようよ」 あーちゃんがいった。 「もう一回」 「じゃあ、もう一回だけだよ」 ぼくはボールを拾ってきて、「ねえ、もう一回しよう よ」…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ハプニング? あーちゃんの指をがぶり・・・」 3 「だめ、だめ。せっかく新しいボールを拾ったのだから、 このボールでなくちゃあ。りゅう、新しいボールは気持 が良いよ」 「ねえ、あーちゃん。またこのボールとり…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ハプニング? あーちゃんの指をがぶり・・・」 2 それから数ヶ月後。 その日、ぼくは昨日散歩の途中で拾ってきた野球ボ ールで遊んでいた。 いつも古いボールしか落ちていないのに、昨日は新 品のボールが落ちてい…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ハプニング? あーちゃんの指をがぶり・・・」 1 前回、「ボールを飲みこむとこわいから」といって、あ ーちゃんにゴルフボールを無理やりとりあげられた話 をしたね。 そのことが原因で、数ヶ月後、大変な事件がお…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ぼくはボールが大好き」 10 ぼくがこどもたちに抗議すると、「おまえだって、草む らでボールを拾ってきたんだろ」という。 そういわれれば、ぼくには返すことばもない。 「まあ、良いか・・・」 気前の良いぼくは…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ぼくはボールが大好き」 9 「りゅうって、ボール拾いの天才だね」 そういって、あーちゃんとこうちゃんがほめてくれた。 でも、こうちゃんはぼくが拾ってきたボールを、ぼく にみつからないように、中学校の校庭へ…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ぼくはボールが大好き」 8 ・・・というより、どこかへ落ちたボールが、坂道なので ころころところがってくるのだ。 野球の部活がある日には、こどもたちが庭へボールを さがしにくる。 あじさいの木の中や、どての…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ぼくはボールが大好き」 7 どうやったら、あのボールを手にいれることができる かな? ぼくはひっしで考えた。 しかし、良い考えもうかばなかった。 次の日。 ひなたぼっこをしていたら、庭へボールがころころと こ…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ぼくはボールが大好き」 6 「こんなボールを飲み込んだら、死んじゃうよ」 そう捨てぜりふを残して、あーちゃんは家の中へ入っ ていった。 「なんだ。一度くれたものをとりあげるなんて、ひどい じゃないか!!」 …

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ぼくはボールが大好き」 5 「あーちゃん、それぼくのボールだよ。飲み込んだり しないから、ボールを返して。ねえ、あーちゃん。ボ ールを返してよ」 ぼくは、あーちゃんにまとわりついて、何度もお願い した。 「…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ぼくはボールが大好き」 4 「なぜ?」 「なぜって、考えりゃわかるら。この犬、何でものみこ んじゃうの」 あーちゃんが「この犬」といっている。 あーちゃんがぼくのことを「この犬」という時は、ろくな ことがない…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ぼくはボールが大好き」 3 柔らかなボールだったので、何度かボールにかみつ いたら、破れてしまった。 「こんな柔らかなボールでは駄目だ。そうだ、良いもの がある」 そういって、こうちゃんは二階からゴルフボー…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ぼくはボールが大好き」 2 そのボールをみた時、ぼくは生まれる前のことを思い出 した。 なぜそんなことを思い出したのか、ぼくにもわからない。 広い草原で、一匹の犬がボールを拾っている。 草むらには、数えきれ…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「ぼくはボールが大好き」 1 ぼくはボールが大好きだ。 好物の肉より好きだ。 一食ぐらいめしを食べなくたって、ボールで遊んでい た方が良い。 それ位、ボールが大好きだ。 ある日、こうちゃんが学校から柔らかなボ…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「あっ、落ちちゃった・・・」 7 それからずっと、十五年三ヶ月間、死ぬまぎわまで、 毎日散歩をした。 少しぐらい雨や雪が降っても、散歩をした。 散歩をしなかった日は、あーちゃんがお茶の稽古で 東京へ行った日だ…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「あっ、落ちちゃった・・・」 6 あーちゃんは足や手が折れていないか、ていねいに しらべてくれた。 痛いけれど、どこも折れてはいないようだ。 あーちゃんはぼくの体を何度もやさしくなでてくれた。 痛みも少しやわ…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「あっ、落ちちゃった・・・」 5 「りゅう、どうしたの? 疲れてしまったのね。じゃあ、 だっこしてあげよう」 そういって、あーちゃんはぼくをだきあげた。 でも、ぼくは生まれた時から、人にだかれるのが大 きらい…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「あっ、落ちちゃった・・・」 4 あーちゃんは、どんどん歩いていく。 ・・・といっても、ぼくが歩くのが遅いだけだ。 あーちゃんは、少し行っては立ち止まって、ぼくの 様子をみている。 「あーちゃん、待って!!も…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「あっ、落ちちゃった・・・」 3 「こわい!!」 ぼくは足がすくみ、しゃがみこんでしまった。 「りゅう、どうしたの? これは車の音だから、大丈 夫だよ」 あーちゃんはそういって、ぼくのせなかをなでてく れた。 …

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「あっ、落ちちゃった・・・」 2 最初の日は、家のまわりを一度だけ歩いた。 次の日は、一日に二度。 その次は三度と、だんだんに歩く距離を長くしてい った。 「りゅう、今日は遠くまでつれていってあげるよ」 二週…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「あっ、落ちちゃった・・・」 1 ぼくがあーちゃんの家にきたのは、生後40日位。 きて十日位は、あーちゃんと一緒に庭で遊んだり、家 のまわりを歩いて、歩く練習をした。 あーちゃんの家のまわりは、小さな砂利が…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「あっ、あーちゃんが追いかけてくる!!」 4 あーちゃんは、小学生の頃から陸上の選手だ。 だから、ものすごく足がはやい。 たちまち、ぼくはあーちゃんにつかまってしまった。 「りゅう、なぜ逃げるの!車にひかれ…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「あっ、あーちゃんが追いかけてくる!!」 3 「少しぐらいの冒険なら良いだろう」 ぼくの心はゆれた。 「こんな良いチャンスはない。そうだ、冒険に行こう」 そう思ったぼくは、かけだした。 後をふりかえったら、あ…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「あっ、あーちゃんが追いかけてくる!!」 2 「りゅう、ちょっと待っていてね。今ガスの火をとめて くるから・・・。逃げてはだめよ!!」 あーちゃんは楓の枝にひもをひっかけて、台所へも どっていった。 ぼくは良…

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[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「わん」となけたよ!! 5 ぼくは他の人にはあまりなかなかった。 でも・・・ガス屋のおじさんが来ると、いつも鳴いた。 そのたびに、ぼくはあーちゃんにしかられた。 ガス屋のおじさんの顔を見ると、台所をのぞいて…