童話

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「プロローグ」 2 何千回も「おはよう」ということばを聞いていれば、 そのうちぼくが「お・は・よ・う」っていえるようになる と、信じていたらしい。 犬がことばをしゃべれるはずはないのに・・・ね。 でも、あーち…

愛犬りゅう「ばいばい、またね」

[童話]愛犬りゅう「ばいばい、またね」 愛犬りゅう「ばいばい、またね」 「プロローグ」 1 ぼく、柴犬の「りゅう」。 ぼくがなくなったのは、平成十二年二月一日。 寒い日だった。 月日のたつのは早いもので、ぼくがこの世を去って から、二十一年になる。 …

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 7 おばさんの声にはげまされ、おそるおそる三歩ほど 歩きました。 気がつくと、まーちゃんは虹の橋の上を、とことこ歩 いていました。 「まーちゃん、こっちよ」 遠くで、おばさんが手をふっています。 まーちゃんは、おば…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 6 「まーちゃん、よく立てたねぇ。今度は、虹の橋の上 を歩いてごらん」 おばさんの声が聞こえてきました。 そういえば、オルゴールの音が、さっきからずっと聞 こえています。 まーちゃんは足をふんばって、おそるおそる…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 5 すると・・・。 また、おばさんの声が聞こえました。 「まーちゃん。まーちゃんは、もう立てるのよ。しっか り足をふんばって、たってごらん」 おばさんにいわれたように、まーちゃんは、虹の橋 の上で立ってみようと思…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 4 まーちゃんは、虹の橋によじのぼろうとしました。 でもつかまる所がないので、すってんころりんと、こ ろがってしまいました。 十分後。 虹の橋に、やっとよじのぼることができました。 虹の橋は太陽にあたり、きらっき…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 3 すると…。 オルゴールの中から、七色の帯のようなものが、する するっとでてきました。 そして、空に美しい虹がかかりました。 「なんてきれいな虹だろう」 まーちゃんがそうつぶやいた時、 「まーちゃん、元気? つかま…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 2 まーちゃんは、おかあさんの部屋で、オルゴールを みつけました。 オルゴールは、かなおばさんからのプレゼント。 ワインレッド色のすてきなオルゴールでした。 まーちゃんは、かなおばさんが大好き。 オルゴールには、…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 1 「かっこう、かっこう」 裏の林で、かっこうが鳴いています。 まーちゃんは、かっこうの声で、目がさめました。 まーちゃんは、七ヶ月の男の子。 ようやくつかまり立ちができるようになりました。 「ぼく、つかまり立ち…

こんこんきつね・るみ

[童話]こんこんきつね・るみ こんこんきつね・るみ 7 「ひろ君、元気? おかあさんのこと、神様にお願 いしてあげたからね」 どこからか、るみのやさしい声が聞こえてきました。 「るみちゃん、ありがとう。るみちゃんと友だちにな れて、本当によかった」 …

こんこんきつね・るみ

[童話]こんこんきつね・るみ こんこんきつね・るみ 6 一週間後。 ひろは、一年ぶりに散歩に行きました。 目の前には、雪をかぶった南アルプスの山々が美 しくみえます。 るみが住んでいるという西の空には、黒い雲がかか っていました。 「るみちゃん。元気…

こんこんきつね・るみ

[童話]こんこんきつね・るみ こんこんきつね・るみ 5 るみは、はるかむこうの南天山からきたことを、少年に 話しました。 少年の名前は、ひろ。 ひろは、もう一年も学校を休んでいるそうです。 ひろは、おかあさんが癌で入院していることを話して くれまし…

こんこんきつね・るみ

[童話]こんこんきつね・るみ こんこんきつね・るみ 4 「太陽がでているのに、なぜカーテンをあけないの だろう?」 るみは、ふしぎに思いました。 玄関のチャイムをおしてみました。 しかし、誰もでてきません。 裏へまわり、家の中をそっとのぞいてみると…

こんこんきつね・るみ

[童話]こんこんきつね・るみ こんこんきつね・るみ 3 るみは大声でさけびながら、下へ下へと降りていき ました。 どのくらいの時間がすぎたのでしょうか。 気がつくと、るみは丘の上にすわっていました。 目の前には、雪をかぶった美しい山がみえます。 あ…

こんこんきつね・るみ

[童話]こんこんきつね・るみ こんこんきつね・るみ 2 るみの夢は、人間のこどもたちと仲良しになること でした。 春のある日。 「えいっ、空を飛べるほうきに変身!」 るみは、おばあさんから教えてもらった呪文を、一 心にとなえました。 ほうきに変身する…

こんこんきつね・るみ

[童話]こんこんきつね・るみ こんこんきつね・るみ 1 西の空のむこうには、こんこんきつねの一家が住ん でいる「南天山」があります。 南天山には、せきやのどにきく、南天の木がたくさ ん植えてありました。 秋になると、南天山は南天の実で真っ赤になりま…

チャック先生

[童話]チャック先生 チャック先生 8 こどもたちは、チャック先生がタンブリンをならさなく ても、「お口をチャック」というだけで、静かに先生の 話を聞けるようになりました。 チャック先生は、大きな声でこどもたちをどなったり、 しかったりしたことがあ…

チャック先生

[童話]チャック先生 チャック先生 7 「チャック先生、こんなことをいつまでさせるんだ」 あきらは、最初先生をうらみました。 でも、だんだんに「ぼくが悪かったのだ」と思うように なりました。 一度失敗したこどもたちは、二度と同じ失敗をしない ように…

チャック先生

[童話]チャック先生 チャック先生 6 「ひろし、約束だろ。チャイムがなるまで、同じ姿勢を 続けなさい」 チャック先生がいいました。 「ちぇっ、なんでこんなかっこうをしていなくちゃあなら ないんだ。チャック先生、許してくれよ」 ひろしは心の中でさけ…

チャック先生

[童話]チャック先生 チャック先生 5 しばらく、こどもたちはいろいろな失敗をしました。 ひろしは机の上にのぼろうと、片足をいすに乗せた 時でした。 さとしとかなは、夢中でうでずもうをしていました。 あきらはとしおに「あかんべー」をしていました。 …

チャック先生

[童話]チャック先生 チャック先生 4 こどもたちは、「チャック」ということばは、知りません。 でも、静かにしなくてはいけないのだなということは、 わかりました。 教室は、「しーん」と静かになりました。 ☆ タンブリンがなったら、そのままのしせいで静…

チャック先生

[童話]チャック先生 チャック先生 3 教室の中は、「わいわい、がやがや」、はちのすをつ ついたようなさわぎでした。 先生は音楽室へ行き、タンブリンをもってきました。 そして、 「タンタンタン、ジャラ、ジャラ、ジャラーン」 「タンタンタン、ジャラ、…

チャック先生

[童話]チャック先生 チャック先生 2 こどもたちは、小森先生のことを「チャック先生」とよ んでいます。 なぜ「チャック先生」と呼ばれるようになったのでしょ うか? 四月末のある日。 今にも雨が降ってきそうなどんよりした日でした。 一時間目のチャイム…

チャック先生

[童話]チャック先生 チャック先生 1 山深い村の小学校に、若い男の先生がふにんして きました。 先生の名前は、小森。 先生は、一年生の担任になりました。 男の子十人、女の子八人の小さなクラスでした。 大きなまーるい鼻、太いまゆげ、きらきら光る温か…

うぐいすの橋

[童話]うぐいすの橋 うぐいすの橋 6 かなは、今日もくにゃくにゃ道を歩いて、学校に通 っています。 深い谷のみえる所まで来ると、かなはうぐいす色の 橋のことを、なつかしく思い出します。 すると、深い谷間の方から、うぐいすの声が聞こえ てきます。 あ…

うぐいすの橋

[童話]うぐいすの橋 うぐいすの橋 5 みると、何千羽のうぐいすが、深い谷間にむかって、 まいおりていくところでした。 「うぐいすさん、うぐいす色の橋をありがとう」 かなは、うぐいすたちにお礼をいいました。 「たくさんのうぐいすが、手をつなぎ、長い…

うぐいすの橋

[童話]うぐいすの橋 うぐいすの橋 4 かなが歩くと、うぐいす色の橋が、「ほーほけきょ、 ホーホケキョ」と、鳴きます。 「王子さまを助けていただきありがとうございました」 かなには、たくさんのうぐいすが、お礼をいっている ように聞こえました。 橋の…

うぐいすの橋

[童話]うぐいすの橋 うぐいすの橋 3 「この谷に、橋をかければ良いのですね。ちょっと待 っていてくださいね。すぐ橋をかけますから」 うぐいすは深い谷間にむかって、「ほーほけきょ」と 鳴きました。 すると。 何千羽といううぐいすが、深い谷間からまい…

うぐいすの橋

[童話]うぐいすの橋 うぐいすの橋 2 そして、一羽のうぐいすが、かなの前におりてきま した。 「かなさん、こんにちは。私をおぼえていますか。 私は、うぐいすの国の王子です。昨年、足にけが をして困っている所を、助けていただきありがとう ございまし…

うぐいすの橋

[童話]うぐいすの橋 うぐいすの橋 1 かなは、くにゃくにゃ道を歩いて、学校へ行きます。 道の途中に、深い谷が見える場所があります。 「この深い谷に、長い橋がかかっていればいいの に。そうすれば、家からここまで五分位でこられる」 かなは、深い谷を見…