ライオンめざめる

[童話]ライオンめざめる ライオンめざめる 5 しばらくすると、 「い・・た・・いよぉ。・・・いたいよ・・・」 こんな声も聞こえてきました。 「どこがいたいの?」 かなは、ライオンに聞きました。 でも、ライオンはなにも答えません。 困ったかなは、ロケ…

ライオンめざめる

[童話]ライオンめざめる ライオンめざめる 4 すると・・・。 うなり声は、ライオンのロケットが入れてある机の方 から聞こえてきました。 「まさか・・・?」 そう思ったかなは、居間へもどりました。 「うーん・・・うーん・・・」 しばらくすると、またう…

ライオンめざめる

[童話]ライオンめざめる ライオンめざめる 3 「娘が生まれ、七才になった日、ライオンのロケットを、 娘にプレゼントしよう」 おとうさんは、そう心に決めました。 そして、そんな日がくるのを、楽しみにして待っていま した。 「かな、とてもよくにあうよ…

ライオンめざめる

[童話]ライオンめざめる ライオンめざめる 2 五月十日。 かなは、七才になりました。 「かな、誕生日おめでとう。誕生日のプレゼントだよ」 そういって、おとうさんは、かなの首にロケットをかけ てくれました。 それは、金でできた、二センチくらいの大き…

ライオンめざめる

[童話]ライオンめざめる ライオンめざめる 1 霧ヶ峰高原のふもとに、一軒の山小屋がありました。 その山小屋には、心のやさしい少女が、おとうさん とおかあさんとくらしています。 いや、もう一匹、少女がかわいがっている柴犬「りゅ う」もいっしょでした…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 18 若者は、村の人々が帰った後も、いつまでもいつ までも笛をふき続けました。 笛の音は、遠くふもとの村までひびきわたりました。 「若者よ、わしに新しい命を与えてくれて、ありがと う。感謝して…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 17 一カ月後。 若者は、かえでの木が立っていた丘の上で、コンサ ートを開きました。 協力してくれた村の人々や、かえでの木が大好きだ ったこどもたちのために、若者はかえでの笛でいろ いろな曲を演…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 16 「かえでのためにも、私だけでもがんばってみよう」 若者は寝る間もおしみ、毎日笛を作りつづけました。 「かえでよ、もっと長生きしたかっただろうに、人間 のかってで切りたおしてしまって、ご…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 15 若者と村の人たちは、何カ月もかけて、笛を作りました。 しかし、何本笛を作っても、なぜかもの悲しいさみしい 音しかしません。 「かえでの木では、良い音がでないのだろうか。いや、 そんなはず…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 14 「笛を作りたいのですが、かえでの木をゆずっていた だけませんか」 若者は、責任者の人にたのみました。 「かえでの木で、笛ができるのですか?」 「ええ、できますよ。きっと、すばらしい音色の…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 13 小雪の舞う、寒い季節になりました。 若者が、高原にやってきました。 若者は、コカリナ(木でつくったタテ笛)の奏者でした。 スキー大会の会場を作るために切りたおされたたくさ んの木をみて、…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 12 「私たちは、これからどうなるのだろう。いつまで、こ んな所に横たわっているのだろうか」 「なにかに利用してくれると、うれしいのだが・・・」 「人間たちは、森の木を一本残らず切ってしまっ…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 11 「ばさりっ」 かえでの木のたおれる音が、丘の上にひびきわたり ました。 かえではあまりの痛さに顔をしかめ、そのまま失神し てしまいました。 気がついた時には、かえでは一メートルくらいの長 …

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 10 「ばさっ」 「ばさりっ」 じゃまになるといわれた森の木が、大きな音をたて、 つぎつぎに切りたおされていきました。 「チェーーン」 「チェーーン」 チェーンソーの音でしょうか。 高い音が聞こ…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 9 「森の木がなくなると、さみしくなってしまうね。わた したちは、これからどこで暮らしたらよいのかしら」 「さあ・・・どこで暮らしたら良いかのぅ。 わしも、森の仲間たちのことが心配じゃ」 かえ…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 8 「うわさでは、この森でスキー大会が行われるとか。 その会場を作るために、森の木をたくさん切るそう だ。なぜ人間たちは私たちをみごろしにするのだ ろうか」 かえでには、人間の気持がわかりませ…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 7 かえでも、仲間の木といっしょに、切られてしまうこと になったのです。 この丘での楽しかった思い出が、まるで昨日のこと のように、かえでにはなつかしく思い出されました。 「とうとう、わしも切…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 6 その声は、なげやりでらんぼうな声でした。 「仲間の木が、切られてしまうのだな」 かえでは、さみしく思いました。 「まさか、丘の上のわしの所まではこないだろう」 かえでは、安心していました。…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 5 かえでは、村のこどもたちが大好き。 こどもたちも、かえでの木が大好きでした。 こどもたちだけでなく、おとなもかえでの木が大好 きでした。 こどものころを思い出し、かえでの美しい芽吹きや 黄…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 4 「ピーヒョロロ、ピーヒョロロ」 晴れた日には、森の上空を、とびがのんびりとんで います。 すずめ・しじゅうから・からす・おながなどは、一年中 かえでの木に遊びにきます。 りすやかもしかも、…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 3 かえでの木には、こげらもやってきます。 こげらは、木の幹をコツコツとたたきながら、虫を食 べてくれます。 「ギィーギィー」 初めてこげらの鳴き声を聞いた時、かえではびっく りしました。 「は…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 2 「かっこう、かっこう」 五月なかばになると、かっこうがやってきます。 かっこうの元気な声が、森にひびきわたります。 「かっこう君、君は元気だねぇ」 かえでは、かっこうに話しかけます。 「も…

笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ 笛の音よ、永久にひびけ 1 志賀高原の丘の上に、大きな“いたやかえで”の木 が立っています。 「あーあ、よく寝たのぅ。さて、ぼつぼつ目をさますと するか」 二百才になったかえでは、大きなあくびをしました。 そして、芽を…

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 28 夏になると、女神さまたちはかきつばたに会いに、八 島の湿原にやってきます。 「かきつばたは本当に美しい少女だったけれど、花 になってもやっぱり美しいのね」 そういいながら、女神さまたちは…

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 27 山彦は、かきつばたの花が咲く頃、八島の湿原へ かきつばたに会いに行きます。 そして、一日中かきつばたと一緒に過ごすのでした。かきつばたがなくなってから、ニ千年の月日がすぎ ました。 夏に…

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 26 一年後。 山彦が、八島の湿原へ行ってみると、沼のほとりに みたことのない紫色の花が咲いていました。 花が咲いている場所は、初めてかきつばたに出会 った場所でした。 「かきつばたさんが、紫…

かきつばたになった小女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 25 かきつばたのおとうさんとおかあさんも、大切な娘と かわいい妹をなくし、がっくりしていました。 二人は、毎日霧が峰へ行き、かきつばたをさがして 歩きました。 「かきつばた、かきつばたー。ど…

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 24 かきつばたがいなくなったことを知ったおばさまは、 かきつばたのことを心配しました。 「私が山彦のことを話さなければ、かきつばたは霧 が峰へ行くこともなかっただろうに・・・」 おばさまは、…

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 23 「かきつばたさんはどこへ行ってしまったのだろう?」 びっくりした山彦は、「かきつばたさーん、かきつばた さーん」とさけびながら、広い高原をさがしまわりました。しかし、かきつばたはどこに…

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 22 「山彦さん、おせじをいわないで」 「本当だよ。きみの顔は、なんともいえない優しい顔 だ。きみの心の優しさが、そのまま顔にでている」 「でも・・・今水面に顔をうつしてみたら、私はとてもみ …