瑠璃寺の青獅子


   瑠璃寺の青獅子1


信州の伊那谷に、何百年も続いて
いる古い寺がありました。
寺の名前は、瑠璃寺。
獅子舞と枝垂れ桜で有名な寺でした。



桜の花が何輪か咲き始めた春のあ
る日。
和尚が庭掃除をしていると、男が
訪ねてきました。



「和尚さま。大きな枝垂れ桜です
のぅ。
満開になったら、さぞきれいでし
ょうな」



「ええ、きれいですぞ。
この桜は、瑠璃寺が幕府の祈願寺
になった時、源頼朝公が寄進して
くださった桜じゃ。
満開になると、天から桜の花が降
ってくるようで、みごとですぞ」



「満開の桜を、みたいものですな。
和尚さま、源頼朝公といえば、鎌
倉時代の人。
この寺は、ずいぶん古いのですね」
「瑠璃寺は、天永三年(1112年)、
比叡山の観誉僧都(かんよそうず)
によって創建された寺じゃ」


      つづく



童話「瑠璃寺の青獅子」は、
信州高森町にある瑠璃寺に伝わっ
ている「青獅子」の話をヒントに
して、みほようこが書いたもの。


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