瑠璃寺の青獅子


   瑠璃寺の青獅子17


うす暗い小屋の中で、男の目だけ
が異様に光っています。
和尚は、男の変わりようにびっく
りしました。



声をかけることもできず、和尚は
小屋の外から男の様子をじっとみ
ています。



「獅子よ。やっと完成したぞ。
後は、何回かうるしをぬり、金箔
をはるだけじゃ。
そうそう、頭へ金髪もつけなくて
はいけないのぅ。
どれ、太陽の下で、おまえの顔を
じっくりみてみよう」



そういって、男は立ちあがろうと
しました。
しかし、なかなか立ちあがれません。
男は、体の具合でも悪いのでしょうか。


           つづく



   昨日の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091123#p1



  初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20091106#p1



童話「瑠璃寺の青獅子」は、
信州高森町にある瑠璃寺に伝わっ
ている「青獅子」の話をヒントに
して、みほようこが書いたもの。


無断転載・再配布を禁止します。

女神さまとの約束


今、五冊目の童話集「竜の姿をみ
た少女」を、「鳥影社」で制作中。
12月10日頃、発売される予定。


信州諏訪の「風の神様」から聞い
た話。


収録される童話は、「竜の姿をみ
た少女」と「女神さまとの約束」。

 

   女神さまとの約束1


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20090923#p1



    「女神さまとの約束」より


秋になり、硫黄岳のふもとの木々
も、赤や黄色に紅葉しはじめました。



そんなある日。
「白駒、お願い。私を家へつれてい
って」
「ふくさん、女神さまとの約束を忘
れたのですか。
約束をやぶると、大変なことになり
ますよ」



「大変なことって?」
「女神さまとの約束をやぶると、ふ
くさんの命はありません。
私は、女神さまとの約束をやぶった、
何人もの人を知っています。
だから、ふくさんには、女神さまと
の約束を、ちゃんと守ってほしいの
です」



「私は、女神さまとの約束を守り、
けわしい岩場に残り、何百人もの人
をすくいました。
とうちゃんに会いたくても、じっと
がまんしました。



ねぇ、白駒。三日くらい家に帰って
もだいじょうぶでしょ。
すぐここへもどるから。
白駒、お願い。私を家へつれていって。
どうしても、とうちゃんに会いたいの」
ふくは、必死で白駒にお願いしました。
 


    表表紙




       裏表紙