鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま11


「三郎さ、どうしたのじゃ」
「タケルとチハヤは・・・石になっ
ていました」
「石に? どういうことじゃ」



愛犬たちが石になってしまったと
聞き、和尚はおろおろしています。
こどものようにかわいがっていた
タケルとチハヤですから、無理も
ありません。



「わしにも、さっぱりわかりません。
まるで、きつねにばかされたみた
いで。
和尚さま、あとで裏山へ行ってみ
ましょう」



「じゃあ、まず、観音さまを本堂へ
お供えしよう」
二人は、本堂へいそぎました。
「あっ」
突然、和尚が大きな声をあげました。


          つづく



     昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100216#p1



     初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100207#p1



「鹿になった観音さま」は、信州の伊
那谷にある「立石寺」に伝わっている
話をヒントにして、みほようこが書い
たもの。