火とぼし山


    火とぼし山4


「春の日をあびて、福寿草の花が
きらきら光っていた。
ほんとうにきれいだった。
次郎さん、また福寿草の花をみに
行こうよ」
きよがいいいました。
二人は、七年前の春を思い出し、
幸せな気持になりました。



「きよちゃん。おれ・・・」
「どうしたの。次郎さん」
「大事な話がある」
「大事な話って、何」



「おれ、引っ越すことになった」
次郎が、早口でいいました。
「えっ」
きよは、次のことばがでませんで
した。


           つづく



    昨日の分は、こちら。



http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100311#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。