火とぼし山


   火とぼし山7


「次郎さんは、休みがないんでしょ。
だったら、私が会いにいく」
「でも・・・きよちゃんは、女の子。
暗い夜道を、何時間も歩かなくては
ならないのだよ。
きよちゃん、夜道を一人で歩けるの」
次郎が心配して聞きました。



「だいじょうぶ。次郎さん」
きよは、きっぱりいいました。
「大好きな次郎さんのためなら、私
どんなことでもする」
きよは、心の中でそっとつぶやきま
した。



「次郎さん。お願いがあるの。
私と会う日には、大きな火をたいて
ほしいの。
私、その火を目印にして、次郎さん
を訪ねて行くから」
「目印に火か。いい考えだね。
でも、遠くから火が見えるかな」


           つづく



    昨日の分は、こちら。



http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100314#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。