火とぼし山


   火とぼし山11


しばらく行くと、あたりが真っ暗
になりました。
きよはあかりに火をともし、諏訪
湖のまわりを足早に歩いて行きま
した。



「次郎さん。早く火をたいてね」
きよは、心の中で祈りました。
西山に、ぽっと小さな火がともり
ました。
次郎と約束していなければ、みの
がしてしまいそうな小さな火でした。



「あっ、次郎さんだ。
約束通り火をたいてくれたのね。
次郎さん、ありがとう」
きよは、遠くにみえる火を目印にし
て、諏訪湖のまわりを歩いて行きま
した。
しかし、歩いても、歩いても、なか
なか次郎の所へたどりつけません。


          つづく



    昨日の分は、こちら。



http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100318#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。