火とぼし山35
「そうか。それならいいけれど。
このごろ元気がないから、どうし
たのかなと心配していたのだよ。
仕事がひまになれば、また会えるさ」
おとうさんは、きよをなぐさめま
した。
「とうちゃん。ごめんね。
ほんとは、仕事がひまになっても、
次郎さんとは月に一度しか会えな
いの。私、さみしい」
きよは、心の中でそっとつぶやき
ました。
第五章 次郎の見合い
一カ月がすぎました。
今日は、次郎と会う日。
きよにとって、この一カ月は、気が
遠くなるほど長い時間でした。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100413#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。