火とぼし山36
後二十九日、後十五日、後八日・・・
と、次郎に会える日を指おり数え
て待っていました。
「次郎さんに会いたい」
「次郎さんの笑顔がみたい」
この一ヶ月、きよは次郎のことば
かり考えてすごしました。
西山に太陽が沈む頃、きよは次郎
が住んでいる村に向かって出発し
ました。
「今日は、次郎さんに会える」
そう思うと、心がはずみました。
きよは、次郎の笑顔を思いうかべ
ながら、湖のまわりを足早に歩い
て行きました。
一カ月ぶりに会えると思うと、何時
間もかかる遠い道のりも、暗い夜
道も、少しも苦になりませんでした。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100414#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。