火とぼし山44
みると、桑畑の向こうから、娘が
走ってきました。
「きよが、次郎に会いにきたのだ
ろうか」
明神さまは、そう思いました。
でも、きよではありません。
みたことのない娘でした。
明神さまは、あわてて桑のかげに
かくれました。
「次郎さん、こんにちは」
「みよちゃん。どうしたの」
「私、次郎さんに会いたくて、こ
こへきたの。
次郎さんに会えて、うれしいわ」
娘が、うれしそうにいいました。
「みよちゃん。よくここがわかっ
たね」
「おじさんに教えてもらったの」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100422#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。