火とぼし山51
すると・・・。
「あっ、次郎さんだ。約束通り、
火をたいてくれたのね。
ありがとう、次郎さん。今、行く
からねー」
きよが、大声でさけびました。
みると、西の山に、小さな火がと
もっています。
「あの火が、二人の合図なのか。
それにしても、小さな火じゃのぅ」
「きよは、あの火がともるのを、待
っていたのね。
あの火は、二人をつなぐ命の火なの
でしょうね」
手長がしんみりいいました。
手長と足長は、小さな火をめがけて
泳いでいくきよの姿を、いつまでも
じっとみていました。
「無事に、湖をわたり終えますよう
に」と祈りながら。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100429#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1
信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。