火とぼし山


   火とぼし山59


そのため、きよの話を聞いていま
せんでした。
「次郎さん。ぼんやりして、どう
したの。具合でも悪いの」
きよが、心配して聞きました。



「いや、なんでもない」
次郎が、ぼそっといいました。
その夜、きよは一人でしゃべって
いました。



次の朝。
「次郎さん。今度はいつ会えるの」
きよが、いつものように聞きました。
「秋のとりいれが終わってからかな」
「そんなのいや。
せめて、月に二度は会いたい」
きよは、自分の気持を次郎に伝えま
した。


             つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100507#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。