火とぼし山


  火とぼし山60


「きよちゃん。今、野良の仕事が
忙しい。だから、無理だよ」
「そんなことをいって、次郎さん
は私と会うのがいやになったんじ
ゃないの」
きよが、さみしそうにいいました。



「考えすぎだよ」
「じゃあ、見合いをした人と会う
ため」
「その人とは、会っていない」
次郎が、ぶっきらぼうにいいました。



「なんて冷たいいいかたなのだろう」
きよは、心の中でつぶやきました。
「次郎さんのうそつき」
きよが、強い口調でいいました。
 

          つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100508#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。