火とぼし山


   火とぼし山61 


次郎は、はっとしました。
「おれが、うそつき?」
大好きなきよから、うそつきとい
われ、次郎はショックでした。



「次郎さん。うそつきなんていっ
て、ごめんね。
でも、次郎さんは、ほんとのこと
をいっていない」
「きよちゃん。おれ、うそなんか
いっていない」



「ほんと? 次郎さん」
「ほんとだよ」
きよは、次郎の顔をじっとみました。
次郎は、目をそらしました。



「私にはわかる。次郎さんが、そ
の人と会っているということが」
「・・・・・・」
「次郎さん。その人と会っている
でしょ」


           つづく



    昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100509#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/youko510/20100309#p1



信州の諏訪湖には、「火とぼし山」
という悲しい伝説があります。
「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。