福寿草になった少女


福寿草になった少女1


諏訪湖の近くに、守屋山という山があります。
「守屋山には、明神さまが住んでおられる」と、
いわれております。


山のふもとに、朝日長者とよばれる、おおきな
やしきがありました。
長者は、宝がいっぱいつまった、いくつもの蔵
を持っています。
蔵の中には、美しい皿や茶碗・刀や漆器・掛け
軸などが、たくさん入っていました。
しかし、長者にはたった一つないものがありま
した。
子宝です。


長者夫婦は、人がうらやむほど、仲のよい夫婦
でした。
しかし、なぜかこどもが授かりません。
「明神さま、どうかわしらに元気なこどもをお
授けください」
そういって、二人は、朝晩明神さまにお願いし
ていました。



二人は、こどもが大好きです。
「長者さま、あそぼ」
「おくさま、あそびましょ」
やしきの庭へ、近所のこどもたちが、おおぜい
遊びにきます。
「じゃんけんぽん」
あいこでしょ
「もーいいかい」
「まぁーだだよ」
やしきの広い庭からは、近所のこどもたちの元
気な声が、聞こえてきます。
「わしらにも、こどもが欲しいのぅ」
こどもたちをみるたびに、二人はそう思います。


                    つづく


童話「福寿草になった少女」は、みほようこの二
冊目の童話集・「竜神になった三郎」に収録され
ています。



竜神に 収録すなる 童話なり」


わが家のBlogPet「ryuu」の句




竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

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