明神さまの姿をみた少女1
明神さまは、狩猟の神さま・農耕の神さま・風の
神さまともいわれ、大昔からずっと諏訪の地をお
さめてこられた、偉大な神様でございます。
その明神さまへ、雨の日も風の日も雪の日も、一
日も休まずお参りにくる、心の優しい少女がおり
ました。
少女には、心を病んでいる兄がいました。
「兄ちゃんが、一日も早く良くなりますように。
兄ちゃんが、心のやさしい、おだやかな人になれ
ますように」
少女は、明神さまに毎日兄のことをお願いしてい
たのです。
少女が明神さまへ千回目のお参りにいった日。
ひとっこ一人いない静かな境内を、ぴゅーと心地
よい風が通りすぎていきました。
「なんて気持のよい風だこと」
少女がそうつぶやいた時、社の方からおごそかな
声が聞こえてきました。
つづく
「明神さまの姿をみた少女」は、みほようこの
初めての童話集・「風の神様からのおくりもの」
に収録されています。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2001/08
- メディア: 単行本
- クリック: 67回
- この商品を含むブログ (542件) を見る