笛の音よ、永久にひびけ5
「仲間の木が、切られてしまうのだな」
かえでは、さみしく思いました。
「まさか、丘の上のわしの所まではこない
だろう」
かえでは、安心していました。
ところが・・・。
人間たちが、丘の上までやってきたのです。
「大きなかえでだねぇ」
「こんなかえでは、みたことがない」
「しかし、かえでだけ残しておくわけにも
いくまい」
「どうしたら良いだろう」
「切るよりしかたがないね」
こんな声が聞こえてきました。
かえでも、仲間の木といっしょに、切られ
てしまうことになったのです。
つづく
童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、スキー
大会の会場をつくるためにきりたおされた、
信州志賀高原の樹令200年の楓のお話。
童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、
みほようこの四冊目の童話集「ライオン
めざめる」に収録されています。