笛の音よ、永久にひびけ


  笛の音よ、永久にひびけ9


かえでが驚いてみていると、森の木がみん
な横たおしになってしまいました。
「いよいよ、わしの番か。さぞ、痛いだろ
うな」
そう思った時、耳元で「チェーーン」とい
う高い音がしました。



「ばさりっ」
かえでの木のたおれる音が、丘の上にひび
きわたりました。
かえではあまりの痛さに顔をしかめ、その
まま失神してしまいました。



気がついた時には、かえでは一メートルく
らいの長さに切られていました。
そして、他の木と一緒に、高原のふもとへ
運ばれました。



たくさんの木だったので、森の木はそのま
ま何ヶ月も積まれたままでした。
雨が降ったり、風が吹いたりして、どの木
もだんだんに枯れていきました。


          つづく



童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、スキー
大会の会場をつくるためにきりたおされた、
信州志賀高原の樹令200年の楓のお話。



童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、
みほようこの四冊目の童話集「ライオン
めざめる」に収録されています。








おとうさんからもらった誕生日のプレゼン
ト、ライオンのロケット。
そのロケットには、何千年も前の謎が秘め
られていた。
表題作ほか、霧ケ峰高原を訪れたときに、
風の神様から聞いた3つのお話を収録。




http://www.bk1.jp/product/02719469