笛の音よ、永久にひびけ14
一ヶ月後。
若者は、かえでの木が立っていた丘の上で、
コンサートを開きました。
協力してくれた村の人々や、かえでの木が
大好きだったこどもたちのために、若者は
かえでの笛でいろいろな曲を演奏しました。
二百年もの間、村の人々を守ってくれたか
えでの木の精が、その笛の中に宿っている
ような、清らかな音色でした。
村の人々は、若者が奏でる清々しい笛の音
に、時間も忘れうっとりと聞きほれました。
こうして、切りたおされたかえでの木は、
一人の若者によって、コカリナとよばれる
すてきな笛に生まれかわりました。
つづく
童話集「ライオンめざめる」裏表紙
「笛の音よ、永久にひびけ」の挿絵
挿絵は、長野ひろかず先生。
(無断転用禁止)
童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、スキー
大会の会場をつくるためにきりたおされた、
信州志賀高原の樹令200年の楓のお話。
童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、
みほようこの四冊目の童話集「ライオン
めざめる」に収録されています。
http://www.bk1.jp/product/02719469