福寿草になった少女


  福寿草になった少女2


二人は、こどもが大好きです。
「長者さま、あそぼ」
「おくさま、あそびましょ」
やしきの庭へ、近所のこどもたちが、おお
ぜい遊びにきます。 



「じゃんけんぽん」
あいこでしょ
「もーいいかい」
「まぁーだだよ」
やしきの広い庭からは、近所のこどもたちの
元気な声が、聞こえてきます。
「わしらにも、こどもが欲しいのぅ」
こどもたちをみるたびに、二人はそう思いま
す。



「長者さまも奥さまも、あんなにこどもが好
きなのに、なぜこどもが授からないのじゃろ。
早くこどもが授かると良いのぅ」
長者夫婦は、こどもたちだけでなく、村の人
々からもしたわれていました。



「私たちには、もうこどもが授からないのか
しら」
「いや、そんなことはない。二人で一心にお
願いすれば、明神さまが元気なこどもを授け
てくださるにちがいない」



          つづく



童話「福寿草になった少女」は、守屋山の明
神様にまつわる、福寿草と少女の話。
信州諏訪の「風の神様」から聞いたお話。




童話「福寿草になった少女」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」に収
録されています。



童話集「竜神になった三郎」は、2004年
4月、諏訪大社御柱祭にあわせ「鳥影社」
から発行されました。




http://www.bk1.jp/product/02434727