福寿草になった少女


 福寿草になった少女3


二人は、いつかこどもが授かると信じ、毎
日明神さまに、こどものことをお願いして
いました。
しかし、何年たっても、こどもは授かりま
せんでした。



二十年が過ぎました。
二人とも、四十すぎになりました。
「もう年だから、こどもはむりね」
「毎日こどものことをお願いしているのに、
なぜ明神さまは、わしらの願いを聞いてくれ
ないのじゃろ」
二人は、こどものことを、あきらめかけてい
ました。



そんな春のある日。
庭の桜が、満開になりました。
「今年の桜は、みごとじゃのぅ」
「そうねぇ。こんな美しい桜は、ひさしぶり
ね」
二人は、桜の花にみとれていました。



すると・・・。
お手伝いの人が、あわてて長者をよびにきま
した。
「だんなさま、だんなさま。た、大変です」
「何じゃ。そうぞうしい」
「だんなさま、門の所に赤ちゃんが・・・赤
ちゃんが捨てられています」
「何? 赤ちゃんがいると・・・」


            つづく



童話「福寿草になった少女」は、守屋山の明
神様にまつわる、福寿草と少女の話。
信州諏訪の「風の神様」から聞いたお話。




童話「福寿草になった少女」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」に収
録されています。



童話集「竜神になった三郎」は、2004年
4月、諏訪大社御柱祭にあわせ「鳥影社」
から発行されました。




http://www.bk1.jp/product/02434727