福寿草になった少女


   福寿草になった少女9


福が七才になった春のことです。
「福や、守屋山にはな、雪がとける頃、黄
金色の花が咲くといういいつたえがあるの
だよ。黄金色の花は、春を告げる花だとい
われている。



黄金色の花をみた人は、一生幸せにくらせ
るそうだ。
とうちゃんも若い時、黄金色の花がみたく
て、毎年守屋山に登って、花をさがしたも
のだ。



しかし、なぜか一本も見つけることができ
なかった。
村の人は、だれも黄金色の花をみたことが
ないそうだ。一度で良いから、黄金色の花
をみたいものじゃのぅ」
長者は、守屋山に咲くという黄金色の花の
ことを、福に話してくれました。



「とうちゃん、黄金色の花って、どんな花
かしら。私も黄金色の花がみたいわ。
とうちゃん、大きくなったら、守屋山へつ
れていってね。きっとよ」
福は、長者と約束しました。


          つづく



童話「福寿草になった少女」は、守屋山の明
神様にまつわる、福寿草と少女の話。
信州諏訪の「風の神様」から聞いたお話。




童話「福寿草になった少女」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」に収
録されています。



http://www.bk1.jp/product/02434727