福寿草になった少女


   福寿草になった少女15


長者は、たくさんの宝物を、使用人や村の
人々に、おしげもなくわけ与えました。
大切なこどもをなくしてしまった長者には、
宝物などもう何の価値もなかったのです。



長者は、福がたおれていた場所にも、たく
さんの小判を埋めました。
その後、長者はこじんまりした家をたて、
福をしのびながら、夫婦二人だけで、ひっ
そりと暮らしました。



十年が過ぎました。
福の命日に、二人は守屋山に登りました。
「福が生きていたら、今年は十八ね。
すてきな娘になっただろうに・・・・・・」
二人は福のことを思いだしながら、守屋山へ
登って行きました。



        つづく



童話「福寿草になった少女」は、信州の諏
訪湖の近くにある山・守屋山の明神様にま
つわる福寿草と少女の話。



信州諏訪の「風の神様」から聞いたお話。
「風の神様からのおくりもの」シリーズ2



童話「福寿草になった少女」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」に収
録されています。









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