福寿草になった少女


福寿草になった少女17


「とうちゃん、かあちゃん。今年も忘れず
に私に会いにきてくれたのね。うれしいわ。
私ね、明神さまにお願いして、とうちゃん
がみたいといっていた黄金色の花にしてい
ただいたの。きれいな花でしょ。



今は一本きりだけれど、何百年かたてば、
何万本にもふえると思うの。
とうちゃん、かあちゃん。来年も再来年も、
忘れずにここにきてね。きっとよ」
どこからか福のかわいい声が聞こえました。



すると・・・。
山の頂からも、おごそかな声が聞こえてき
ました。
「わしは守屋山に住んでいる明神じゃ。
二人とも福に会えて、本当に良かったのぅ。
長者夫婦よ、福を大切に育ててくれて、あり
がとう。感謝しているぞー。



そこに咲いている黄金色の花は、福寿草とい
うのじゃ。これからはその花を福だと思って、
大切にするのじゃよ」


        つづく



童話「福寿草になった少女」は、信州の諏
訪湖の近くにある山・守屋山の明神様にま
つわる福寿草と少女の話。



信州諏訪の「風の神様」から聞いたお話。
「風の神様からのおくりもの」シリーズ2



童話「福寿草になった少女」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」に収
録されています。









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