竜神になった三郎


  竜神になった三郎1


たてしな山のふもとに、小さな村がありま
した。
あっちをむいても、こっちをむいても、山・
やま・山。
さるやりす、かもしかや熊も住んでいる、
山深い村でした。



その村に、太郎・次郎・三郎という、三人
の男の子が、仲良く暮らしていました。
「太郎さと次郎さは、元気がいいのぅ。い
たずらもよくするし」
「それにくらべ、末っ子の三郎ちゃは、お
となしいのぅ。誰ににたのじゃろ」



村の人々がいうように、三郎は大人しい心
のやさしいこどもでした。
兄たちは「三郎や、三郎や」といって、三
郎をかわいがってくれます。
三郎も、兄たちが大好きでした。



「あそこの兄弟は、ほんとに仲がいいのぅ」
「おらのとこは、朝からけんかばっかり。
どうして仲良くできないのじゃろ」
三郎の兄弟は、人がうらやむほど仲のよい
兄弟でした。


         つづく



童話「竜神になった三郎」は、信州の諏訪
地方に伝わっている「竜になった三郎」を
ヒントにして、みほようこが書いた物語。



竜神になった三郎」は、みほようこの二
冊目の童話集・「竜神になった三郎」に収
録されています。



竜神になった三郎」は、2004年4月、
諏訪大社御柱祭にあわせて、「鳥影社」
から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。
すてきな挿絵です。