竜神になった三郎


竜神になった三郎2


春になると、三人はつれだって、山へわら
びやたらの芽などをとりに行きます。
「三郎や、これがわらびだ。ほら、ここに
もあそこにもあるぞ」
枯れ草の中に、わらびがかわいい芽をだし
ています。
三郎は、夢中でわらびをとりました。



「三郎、たらの芽だ。とげがあるから、気
をつけろ」
兄たちは、春の山の幸を、三郎に教えてく
れます。



秋になると、三人は、山へ栗やきのこなど
をとりに行きます。
「でけえ栗が落ちているぞー。三郎、こっ
ちへきて拾えや」
次郎が、大声で三郎をよんでいます。



「おっ、あけびだ。じゅくしていてうめえぞ」
太郎は、するすると木にのぼり、三郎にあ
けびをとってくれます。
そして食べ方を教えてくれました。


       つづく



童話「竜神になった三郎」は、信州の諏訪
地方に伝わっている「竜になった三郎」を
ヒントにして、みほようこが書いた物語。



竜神になった三郎」は、みほようこの二
冊目の童話集・「竜神になった三郎」に収
録されています。








竜神になった三郎」は、2004年4月、
諏訪大社御柱祭にあわせて、「鳥影社」
から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。
すてきな挿絵です。