竜神になった三郎


 竜神になった三郎6


「一週間後、もう一度ここであおう」
そう約束して、二人は別れました。



その日、三郎は軽い足取りで、家に帰りま
した。
何時間もかかる長いみちのりも、急な坂も、
今日はへっちゃらでした。



「三郎、今日はうれしそうな顔をしている
が、町で何か良いことがあったかや」
太郎が聞きました。
「いや、べつに」
三郎はぶっきらぼうに答えました。
三郎の心の中は、諏訪湖のほとりで会った
美しい娘のことで、いっぱいだったのです。



その夜、三郎はなかなかねつくことができ
ませんでした。
その後、二人は、諏訪湖のほとりで、何度
か会いました。
そして、会うたびに「いっしょにくらした
い」と思うようになりました。


            つづく



童話「竜神になった三郎」は、信州の諏訪
地方に伝わっている「竜になった三郎」を
ヒントにして、みほようこが書いた物語。



竜神になった三郎」は、みほようこの二
冊目の童話集・「竜神になった三郎」に収
録されています。








竜神になった三郎」は、2004年4月、
諏訪大社御柱祭にあわせて、「鳥影社」
から発行されました。
挿絵は、長野ひろかず先生。
すてきな挿絵です。