守屋山に黄金色の花が咲いた


童話「守屋山に黄金色の花が咲いた」より


どのくらい歩いたのでしょうか。
ふもとのひあたりの良い場所についた
時、少女はあっとおどろきの声をあげ
ました。



何百年もの間、おおぜいの人が探して
もみつけることができなかった黄金色
の花が、どて一面に咲いているではあ
りませんか。



それも一本や二本ではありません。
そこには百本、いや千本、ニ千本・・・、
数えきれないくらいの黄金色の花が咲
いていたのです。
黄金色の花は太陽にあたり、きらきら
と輝いていました。



「なんてきれいな花だろう」
少女は黄金色の花にみとれていました。
するとまた声が聞こえました。
「少女よ、長い間、本当によくがんばっ
たのー。目の前の黄金色の花は、おまえ
が咲かせた花じゃ。



兄を思うやさしい気持が、この黄金色の
花になったのじゃ。
この花は何というか知っているか。
福寿草というのじゃ。



おまえが兄にやさしいことばをかけるた
びに、一本ずつここに咲いたのじゃ。
この黄金色の花は、誰にでも見える訳で
はないぞ。
心のやさしい人にしか見えないのじゃ。










童話「守屋山に黄金色の花が咲いた」は、
みほようこの初めての童話集「風の神様
からのおくりもの」に収録されています。






 童話集「風の神様からのおくりもの」


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