火とぼし山


    火とぼし山21


 次の朝。
「次郎さん。今度は、いつ会えるの」
きよが聞きました。
「今、野良の仕事が忙しい。だから、
今度会うのは、一カ月後かな」
「一カ月後?」
「そう、一カ月後」



「一カ月も、次郎さんに会えないの。
そんなのいや。私、毎晩でも次郎さん
に会いたい」
きよは、自分の気持を次郎に伝えました。



すると・・・。
「きよちゃん。実は、おれ・・・」
次郎が、いいにくそうに話を始めました。
「次郎さん。どうしたの?」
「実は、きよちゃんと」
次郎さんて、ほんとにじれったい人ね。
いいたいことがあれば、はっきりいえ
ばいいのにと、きよは思いました。


             つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪湖
には、「火とぼし山」という悲しい伝
説があります。


「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。