火とぼし山


    火とぼし山32


「じゃあ、一カ月後、次郎さんに会え
るのを楽しみにしているわ」
「おらも、楽しみにしているよ」
そういって、二人は別れました。



次郎さんたら、一カ月ぶりに会ったと
いうのに、見合いの話などして、どう
いうつもりなのかしら。いやな次郎さん。
でも、次郎さんが、こっそり見合いを
したら、それもいやだなと、きよは思
いました。



私は、小さな時から、次郎さんが好き
だった。そして、今も大好き。
でも、次郎さんは、どうだったのだろう。
私のほかにも、好きな人がいたのでは
ないだろうかと、きよは不安になりま
した。
 

            つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪湖
には、「火とぼし山」という悲しい伝
説があります。


「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。