火とぼし山


   火とぼし山33


 一ヶ月後。
きよと次郎は、再び会いました。
「次郎さん。姪の人と見合いをした
の?」
きよが、さりげなく聞きました。



次郎の見合いの話など、きよは聞き
たくありません。
でも、気になってしかたがなかった
のです。



「うん。した」
「次郎さんは、その人と会わないっ
ていったのに、どうして会ったの」
きよが聞きました。
「きよちゃん。ごめん。おれ、こと
わりきれなかったんだ」
次郎が、すまなそうにいいました。


             つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪湖
には、「火とぼし山」という悲しい伝
説があります。


「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。