火とぼし山


    火とぼし山47


「はい。次郎さん、魚よ」
「魚?」
「泳いでくる途中、つかまえたの。
後で焼いて食べよう」
そういって、きよは魚をわたしました。



「きよちゃん。早く髪をかわかさない
と、風邪をひくよ」 
次郎は、自分のてぬぐいを、きよにわ
たしました。
きよは、そのてぬぐいで髪をふきました。
次郎のにおいが、ぷーんとしました。



きよと次郎は、いつものように、一晩
中いろいろなことを語りあかしました。
楽しいひとときでした。


              つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪湖
には、「火とぼし山」という悲しい伝
説があります。


「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。