鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま11


「タケルとチハヤが、石に? 三郎
さ、どういうことじゃ」
愛犬が石になってしまったと聞き、
和尚はおろおろしています。



「わしにもさっぱりわかりません。
和尚さま、後で裏山へ行ってみまし
ょう」
「じゃあ、まず、観音さまを、本尊
にお供えしよう」
二人は、本堂へ行きました。



「あっ」
和尚が、大きな声をあげました。
「どうしたのですか。和尚さま」
「三郎さ、みてごらん。十一面観音
の頭から、小さな観音さまが一つ消
えている」
「消えている?」
「ほら、あそこ」
みると、小さな観音さまが一つ消え
ています。


               つづく



「鹿になった観音さま」は、信州の
伊那谷・「三穂」に伝わっている話
をヒントにして、みほようこが書い
たもの。