鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま12


「ほんとだ」
 二人は、びっくりしました。
「三郎さ。黄金色の鹿は、小さい観
音さまの化身だったのかもしれない
ぞ」
「えっ、観音さまの化身?」
「そうじゃ」



「じゃあ、わしは・・・観音さまに・・・
矢をむけたということですか」
「そういうことになるかのぅ」
和尚がいいました。



「和尚さま。わしは、おそれおおく
も観音さまに矢をむけてしまいまし
た。わしは、どうしたらいいんじゃ」
三郎は、観音さまの化身である鹿に
矢をむけたことを、心からくやみま
した。


              つづく



「鹿になった観音さま」は、信州の
伊那谷・「三穂」に伝わっている話
をヒントにして、みほようこが書い
たもの。