鹿になった観音さま


  鹿になった観音さま18


すると・・・。
「和尚さま。た、大変です」
こぞうが、とびこんできました。
「そうぞうしい。なにごとじゃ」
「和尚さま。裏の畑に、大きな石
がころがっています」
「何? 石が。どんな石じゃ」
「三メートルくらいある、でかい
石です」



「いつから、石があったのじゃ」
「今、畑にいったらありました」
和尚は、いそいで畑へいってみま
した。
畑には、大きな青い石がころがっ
ていました。



「みごとな石じゃのぅ。この石は、
タケルとチハヤのみがわりにちが
いない」
和尚は、大きな石をみていいまし
た。



「わん、わん、わん」
大きな石のまわりを、タケルとチ
ハヤが、うれしそうに走りまわっ
ています。



普門寺は、その後、「立石寺」と
よばれるようになりました。
そして、村の人々は、大きな石の
あるあたりを、「たていし」とよ
んでいます。


            おわり     
 


「鹿になった観音さま」は、信州の
伊那谷・「三穂」に伝わっている話
をヒントにして、みほようこが書い
たもの。