赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花13


「矢の先に火をつけ、城を射よー」
 吉岡城の城主・下条時氏が、兵
士たちにむかってさけびました。
「びゅーん」
「びゅーん」
「ばしっ」
「ばし」
火のついた矢が、城にむかってと
んできます。



百本、いや五百本・・・数えきれない
ほどのたくさんの矢でした。
「どすん」
城の壁にむかって、大きな石がな
げつけられました。



あちこちから、小石もとんできます。
鉄砲の弾もとんできました。
「殿様。城に火がつきました」
天守閣でみはりをしていた人が、
あわてて知らせにきました。


             つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
書いた物語。