赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花14


「城に火がついたぞ。みなのもの、
早く火を消せー」
盛永が、大声でさけびました。
城のあちこちから、火の手があが
りました。
消しても、消しても、次から次へ
と火の手があがります。



城の中は、火の海でした。
城内には、煙がもうもうとたちこ
めています。
家臣たちは、戦うすべもなく、安
全な場所をさがし、城内をあちこ
ち逃げまわりました。



これ以上、城内にいると危険です。
全員焼け死んでしまいます。
盛永は、城を脱出する決心をしま
した。


             つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
書いた物語。