赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花15


「みなのもの、城から脱出じゃ。
急いで用意をせよ」
盛永が、家臣たちにつげました。
家臣たちは、城を逃げ出す準備を
始めました。
そして、数人ずつ、めだたないよ
うに城をぬけだしました。



ところが、すぐ下条の兵士たちに
みつかってしまいました。
「家臣たちが、城を逃げだしたぞ。
早くつかまえろー」
下條時氏が、大声でどなりました。



家臣たちの後を、下条の兵士たち
が追ってきます。
家臣たちは、下条の追手につかま
らないように、山に向かって逃げ
ました。



逃げる後から、矢や小石がとんで
きます。とんできた矢や石で、何
人もの人がけがをしました。
中には、追手につかまり、やりで
殺された人もいます。



             つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
書いた物語。