赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花18


重臣たちから、領民のことも少し
は考えるようにと忠告されたのに、
その忠告も無視してきた。
わしは、なんて情けない城主だっ
たのだろう」
盛永は、目の前で燃えている城を
みて、心の中でつぶやきました。



「殿様、どうかなさったのですか」
犬坊が心配して聞きました。 
「犬坊。戦とは、むなしいものじゃ
のう」
「ほんとにむなしいですね」
燃えている城をみて、犬坊がしん
みりいいました。



「犬坊。家臣たちは、無事に逃げる
ことができただろうか」
盛永は、家臣たちのことを心配しま
した。


             つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
書いた物語。