赤い夕顔の花19
「殿様が、家臣たちのことを心配
している。こんな殿様をみたのは、
初めてだ。城が焼けてしまったの
で、殿様は気が弱くなっているの
だろうか」
犬坊は、盛永のことが心配でした。
「全員無事だといいですね。さあ、
殿様。追手がくるといけないので、
少しでも安全な場所へ逃げましょう」
犬坊が、盛永をせかしました。
二人は、下条の追手を逃れ、山の
奥へ奥へと逃げて行きました。
「殿様。あそこに小屋があります。
少し休みましょう」
「そうじゃな。少し休むとするか」
二人は、小屋で休みました。
「殿様。私がみはりをしています。
少し横になってお休みください」
盛永は、わらの上で横になりました。
つづく
「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこが
書いた物語。