赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花22


「私がいうべきことではありませ
ん。私は、領民のことを考えられ
る心のやさしい殿様になれますよ
うにと、毎日祈っておりました」



「わしのことを、そんなふうに祈
ってくれていたのか。ありがとう」
「さあ、殿様。少しお休みくださ
い」
疲れていた盛永は、いびきをかい
て眠ってしまいました。



犬坊も、盛永のそばで横になりま
した。
犬坊は、盛永やお万・長五郎とす
ごした三年間を、なつかしく思い
出しました。
三人とすごした三年間は、とても
楽しい生活だった。

 
             つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
書いた物語。