赤い夕顔の花28
「うーっ」
盛永が、うめき声をあげました。
胸から、血がふきだしました。
「犬坊・・・何をするのじゃ。
わしは、誰よりもおまえが好きだ
った」
そういうと、盛永は息をひきとり
ました。
あっけない最後でした。
「私は、この世で一番好きだった
人を、やりでさし殺してしまった」
犬坊は、大声でさけびました。
そして、わぁーと泣きながら、山
の奥へ走って行きました。
つづく
「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこが
書いた物語。