赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花39


「奥がたさま。もう少し休まれた
らどうじゃ。若君も疲れているよ
うだし」
「そうもいきません。下条の追手
がくるかもしれませんから。
いっこくも早く、浪合の実家へ帰
りたいと思います」



「では、わしが、若君を背負いま
しょう」
そういって、そうべえは、長五郎
を背負ってくれました。
そして、重い荷物を持ってくれま
した。


            つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
書いた物語。