赤い夕顔の花


 赤い夕顔の花41


長五郎は、夕顔の花をじっとみて
います。
「そうべえさん。この家のかたに
お願いして、夕顔の花を一つ分け
ていただきましょう」



「奥がたさま。そんなことをして
はいけません。奥がたさまだとい
うことが、ばれてしまいます。
黙って、一つだけ花をいただきま
しょう」



「そうべえさん。それでは、どろ
ぼうになってしまいます。
たとえ、夕顔の花一つでも、だま
って人の物をとってはいけません」
お万が、そうべえにいいました。


            つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
書いた物語。