赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花45


おばあさんのことばを聞き、お万
は「私も、盛永さまの気持がわか
りません」と、心の中でつぶやき
ました。



「殿様は、鹿狩りの最中、鉄砲や
弓で何人もの人にけがをさせたそ
うじゃのう。
不注意なのか、それともわざとや
っているのか。困った殿様じゃ。
みんな山へ行くのをこわがってい
るぞ」



「おばあさん、お願いです。
幼いこどもの前で、城主の悪口を
いわないでください。お願いいた
します」
お万は、おばあさんにお願いしま
した。


             つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
書いた物語。