赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花47


でも、幼いこどもの前で、城主の
悪口をいってはなりません。
私は、あなたを許すわけにはいき
ません。来年、この家には、真っ
赤な夕顔の花が咲くでしょう」
お万がいいました。



「何、来年、真っ赤な夕顔の花
が咲くと。
わしは、赤い夕顔の花などみた
ことがないわ」
おばあさんは、腹立ちまぎれに
いいました。



「赤い夕顔の花をみたことがな
ければ、私が赤い夕顔の花を咲
かせてみせましょう」
お万がいいました。
「馬鹿なことをいう奥がたじゃ」
おばあさんは、にやにや笑いな
がらいいました。


           つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
書いた物語。