赤い夕顔の花


   赤い夕顔の花51


私は、この世で一番好きな盛永さ
まを、やりで刺し殺してしまった。
なぜあんなむごいことをしてしま
ったのだろう。



盛永さまが、「お万。お万は・・・無事
か」と寝言をいわなかったならば、
私は盛永さまを刺し殺すことはなか
っただろう。
盛永さまは、なぜあんな寝言をいっ
たのだろうか。



私は、盛永さまが誰よりも私を愛し
てくれていると思っていた。
でも、盛永さまが愛していたのは、
私ではなく奥がたのお万さまだった
のだ。だから、私は、しっとのあま
り盛永さまをやりで刺し殺してしま
ったのだ。
 

            つづく



「赤い夕顔の花」は、信州の南端
にあった「権現城」に伝わってい
る話をヒントにして、みほようこ
書いた物語。